みんなの筋肉、サラダチキン🐓
サラダチキンを作ろう。
どうやってサラダチキンを作る?
先人たちの智慧を借り、低温調理器を使えば作れそうとわかりました。
火で焼くのではなく、60℃程度の低温でじっくり火を通すことで、肉が固くならず、美味しくできるのですね。
調べると、美味しそうな情報ばかり。皆さん、作るのが上手ですね。市販はパサつきが気になりますが、自作するとジューシー。それでいて安い。
低温調理器といえばAnovaが有名ですね。
でもお高いですね。スタイリッシュですね。2万円弱します。買えないです。じゃあ作りますか。
というわけで、サラダチキンを作るために低温調理器を作ります。
低温調理器で調べると低価格なものがたくさん出ていますね。水を入れる容器とかもセットになったのが売っているし、もう作る意味が無いじゃないかと。でも良いんです。です。。。
チキンの加熱時間
中心部温度が60℃で1時間加熱すれば、食中毒は回避できそうですので目安とします。
必要なもの
サーモスタット、水を温めるヒーター、水を入れる容器が必要ですね。
Amazonで↓こんなサーモスタットが売っているので買ってしまえば簡単なのですが、それでは面白くないのである程度自分で作ってみることにしました。(といっても、中身の動作は同じです。作りたいだけ。)
サーモスタット(温度コントローラ)の役目は、設定温度に一定に保つことです。(今回なら60℃キープ)
これを実現するには、温度センサで温度を監視しておいて、設定温度になったらヒーターの電源を切って、温度が下がったらヒーターの電源を入れて温めてあげるようにすれば良いです。
回路、パーツ、コスト
回路、パーツを考えました。
金額 | 購入場所 | |
---|---|---|
サーモスタット(温度コントローラ) | 710 | Amazon |
水を温めるヒータ(100W) | 2,600 | Amazon |
SSR-40 DA(AC24~380V 40A) | 1,000 | 秋月電子 |
ガラス管ヒューズ MF61NR (250V 15A 32mm) | 40 | 秋月電子 |
ACアダプター(DC12V 1A) | 580 | 秋月電子 |
ケース | 250 | 秋月電子 |
ヒューズホルダー | 45 | 秋月電子 |
支柱、ネジ、ケーブル、スイッチ、水を入れる容器など | 0 | 手持ち |
合計 | 5,225 |
サーモスタット(温度コントローラ)
Amazonで2個セットがあったので購入しました。
本当は1つで良かったのですが、2個セットが安かったのでこれにしました。
動作としては、測定温度が設定温度より低い時は基板上のリレー(黒い箱)がON(K0-K1間が導通)し、高い時はOFF(K0-K1間が開放)します。これにより、以下で紹介するSSRをスイッチングします。
説明書は「XH-W1209」でググるとでてきますが、以下にも貼っときます。
http://www.wav-j.com/support/XH-W1209/waves-W1209-manual.pdf
ヒステリシスは初期設定の2℃としました。
温度センサ(NTCサーミスタ)付き。
AC100VをON・OFFするのに、サーモスタット基板上のリレーではなくSSRを使うわけ
サーモスタットの取説を見ると、リレーは「最大AC240V 5Aをスイッチングできる」とあります。(ここで言う電流は実効電流(5Arms)と考えます。)
今回の負荷(ヒータ)はAC100V 100Wですので、100W ÷ AC100V = 1A であり、5A以下ですので、リレーの能力としては制御可能です。
ですが、リレーは使わず、そのリレー信号でSSRを駆動し、SSRでスイッチングするようにしました。
負荷はヒータ、つまり電熱線をグルグル巻いた抵抗器なのでインダクタンス成分があります。AC電圧(交流電圧)は50Hzや60Hzなど時間で変動していますが、遮断するタイミングによっては電圧が高い時であったり低い時であったりします。仮に、電圧が高い時に遮断すると逆起電力が大きく生じて、リレーに高電圧が印加され、リレーが溶着、絶縁破壊などが起こる可能性があります。(要は壊します)なので、0ボルトで遮断でき、上記のリレーでの懸念点が心配いらないSSRを選びました。
遊ばせておくのもナンなので、1つは水槽の温度調整用、もう1つはSSRの温度監視用にしました。
SSRでも電圧降下し、AC100Vラインで大きな電流が流れるので、発熱します。過熱は素子を壊してしまうので、リミッタの意味で温度を監視して保護することにしました。
水を温めるヒータ(100W)
100Wにした理由は適当です。SSRの発熱との兼ね合いで目安を付けたかったからです。
市販品は500W~1kWが多いです。
ヒーターは観賞魚の水槽用ですが、温調機能が無いものを選びます。でないと勝手に止まってしまいますからね。(温調機能が無いのが意外と少ない!)
Amazonで買いました。
水量40L用(at 室温15℃)ですが、お魚さんが快適な温度(15~20℃?)なので、60℃キープにはもっと水量を減らしつつ断熱保温構造が必要です。
温調機能が無いヒータの注意点
ヒータにも温度ヒューズが入っているのですが、加熱した時に切れるようになっています。(空焚き防止機能)
このヒューズは交換できないので、切ったらジ・エンドです。買い直し!
ですので自分で温度制御する場合は切らないように気をつけましょう。
ヒューズの動作温度は記載がありませんでしたが、表面温度は何があっても400℃は越えないそうなので、400℃以下であるのは間違いないです。
SSR-40 DA
SSRとはSolid State Relay(ソリッドステートリレー)です。
機械式のリレーと違い、半導体でできたリレーです。
秋月電子で買いました。
これはゼロクロス動作のSSRです。
上で「SSRは0Vで遮断でき・・・」と記載しましたが、これをゼロクロス動作と言います。
機械リレーではなくSSRを使う最大の理由です。
以下のPanasonicの説明がわかりやすいです。
動作温度は上限が+80℃なので、これ以上温度が上がる場合はサーモスタットで止めるようにします。
ケース
ケースも秋月です。250円で丁度いいサイズがありました。
でもギュウギュウ詰めです(笑)
ACアダプター
SSRの制御電圧はDC5〜32Vなので、DC12VとしてこのACアダプターを選びました。秋月電子。
ヒューズとヒューズホルダー
SSRは故障した時はショートで故障するので、保護ヒューズは必須です。
これを入れないと、家のブレーカを落としてしまいます。
ヒューズホルダーに入れて組み込みました。
SSRの故障モードは、ほとんどショート故障(短絡故障) https://www.fa.omron.co.jp/guide/faq/detail/faq04976.html
水を入れる容器
ヒータが貧弱なので、断熱保温できる入れ物が必須になります。
いい感じの発泡スチロールがあったので使いました。60℃くらいでは変異はしませんでした。
回路図
回路図というか結線図ですね。
ヒューズからSSRの出力まではケースに組み込みました。
12Vでサーモスタット2台を駆動し、温度によってサーモスタット上のリレーを動作させ、SSRに12Vを供給するようにしています。
できたものと製作中の絵
あまり写真は取ってなかったのですが、こんなものができました。
ギュウギュウ詰めなので、一度蓋をあけるともう閉められなくなります(笑)
左横のスイッチでオンします。
サーモスタットには支柱を立てて、ケース表面から1段下げた位置に固定しましたが、問題だったのはどうやってタクトスイッチ(3つ横並びのスイッチ)を押すか。
これらは温度を設定するスイッチです。
SSRの監視用(下側)は一度設定すれば触らないので良いですが、実際に制御する側(上側)の温度は頻繁に変更します。
そこで、竹串とグルーガンのスティックで延長したらいい感じになりました。
グルースティックは安い、加工しやすい、何度もチャレンジできるので具合が良かったです。(結構無駄にしましたが!)
温度センサ(NTCサーミスタ)の線は延長しました。
7セグが結構眩しかったので、マスキングテープを貼ったら丁度いい輝度になりました。
評価データ
せっかくなんでデータを取ってみました。
測定条件
- 水の量:2.2L(発泡スチロールの大体密閉された入れ物=断熱保温容器)
- 目標温度:65℃
- 室温は表中に記載
- 測定時間:300分(5時間)
- 測定間隔:5分
抜粋値
備考 | ||
---|---|---|
温度ズレ上限値 | 1.2℃ | 温度ズレは目標温度が変わっても同等(サーモスタットで設定できる) |
温度ズレ下限値 | -2.0℃ | 同上 |
SSR上昇値最大値 | 15.9K | 運転できる限界がわかる。 上昇最大値+室温がSSRの動作温度上限80℃を越えないように、負荷と時間を設定する。 |
室温が24℃ならだいたい70分くらいで目標温度65℃になります(最初の水温はだいたい室温と同じとして)なので、最初に温かいお湯を入れて始めれば時短になります。(発泡スチロールは断熱容器とすれば、室温とは無関係になるので、室温がと言うよりは水温が24℃なら70分くらいで65℃になる)
概ね、目標温度±2℃程度で落ち着くので、65℃設定なら63~67℃くらいになりそうです。(サーモスタットの設定通り)
普通の金属鍋(熱が外に逃げるような容器)だともっと時間がかかりそうです。
100Wじゃあ小さいなぁ
用語説明
- 温度設定精度:目標温度に対して、実際の温度はどれくらいズレているか(65℃設定に対して、66℃なら66-65=1℃が設定精度)=ヒステリシス
- 空白はSSRが目標温度に達したため停止し、温度が測定できないため
改善点
気づいてしまったからには直すべきですが、直すやる気が出たら改善します!
今(問題点) | 今後(改善) |
---|---|
設定温度に達すると、水槽用サーモのリレーがOFFになるため、SSR温度監視用サーモの表示が消えてしまう(電源が断たれるため) → この時、SSRの温度はわからない(SSRはOFFなので、このわからない区間に過熱で壊す恐れはないが) → SSRの温度も常に表示したい | 各サーモに電源を供給する。 SSRへの電圧印加は各サーモのリレーが直列に入っているので、どちらがOFFしてもSSRはOFFできる(つまりSSRの動作は変わらない) → SSRの温度も常に表示される (普通こうするよね、うんわかる) |
結論
最後になってサラダチキン全く関係ない。。ま、きっかけがサラダチキンだから良いとしよう。
やっぱりケースに入れるの大事。使い勝手がぜんぜん違う。なにか作ってもまとめるって大事。
今はニトリのケトルにつないで、「なんちゃって保温ポット」として活躍しています。
いつかサラダチキン用として日の目を見る時が来るのか!
※サラダチキンを作りには市販の低温調理器を買いましょう!